今日では、ソーシャルレンディングやクラウドファンディングなど様々な投資商品が注目されておりますが、今回はその中でも注目を集めている「不動産特定共同事業」とその事業の仕組みを定めている「不動産特定共同事業法」についてご紹介いたします。
「不動産特定共同事業」の仕組みや背景を知ることで、商品内容や利回りなどの数字だけではなく事業者の方針や商品の背景も一つの判断材料として、出資する商品を選ぶことができます。
また、「不動産特定共同事業」には契約形態が大きく分けて2つあり、それぞれにメリット・デメリットがございますので、自分に合ったサービスを選ぶことが重要となります。
本記事では「不動産特定共同事業法」について、次の順番でご紹介いたします。
目次
投資家から出資を受けて不動産事業を行い、その収益を分配するという事業の仕組みを定めた法で、そのような事業を「不動産特定共同事業」といいます。
最近では不動産特定共同事業法に基づいた「クラウドファンディング」なども増えており、時代とともに進化しながら、比較的安全で一般的な不動産投資商品として確立されております。
不動産特定共同事業法が施行されたことで投資家を保護するための体制が整備され、厳しい許可要件をクリアした事業者のみが運営できるものになりました。
その後は、一定の安全性を確保しながら法改正を経たことで、近年では中小企業でも参入しやすい事業となり、地域再開発などの経済発展にもつながっております。 このような事業・法律ができた歴史を見ていきましょう。
今日の日本では、「少子高齢化による地方の過疎化」、「空き家の増加」といった問題を抱えております。 空き家を取り壊すにも修繕するにも多額の資金が必要となり、地方自治体や中小企業の参入が困難であったため、投資家から出資等を受け不動産を再活用し空き家問題の解消や地域活性化を図ろうとしたのが始まりとなります。
しかし、当時は法の整備もなく安易に事業へ参入することができました。 そのため、このような事業を利用した詐欺や犯罪などが横行し、大きな損害を被る投資家が増加したことが問題となりました。
被害者が増加したことから、1995年に「不動産特定共同事業法」が施行されました。 投資家の利益保護を図り健全な運営をすることを目的とし、許可を受けた事業者だけが「不動産特定共同事業」を行えるようになりました。
また、2017年の法改正で、不動産特定共同事業を行う場合の許可要件が緩和され、「小規模不動産特定共同事業」が創設されたことで、多くの中小企業が不動産特定共同事業へ参入することが可能となりました。
不動産特定共同事業者の分類や許可要件については、以下記事にて詳しく記載しております。
不動産特定共同事業者とは(分類と許可要件について)
不動産特定共同事業は、事業者によって契約形態が異なります。 今回は主に取り扱われている「匿名組合契約」と「任意組合契約」について説明いたします。
契約形態により不動産所有権や所得種別が違い、それぞれにメリット・デメリットがございますので、内容を理解しどちらで契約することが自身の投資目的に合っているのかを確かめましょう。
投資家と事業者が組合員となり、投資家が不動産を所有し投資家に対し収益を分配します。 分配金は不動産所得となります。
投資家と事業者が組合員となり、事業者が不動産を所有し投資家に対し収益を分配します。 分配金は雑所得となります。
契約形態によってそれぞれのメリット・デメリットがございます。 不動産の所有権や節税対策など、不動産特定共同事業に出資するうえで重要な部分となりますので、しっかりと把握しておきましょう。
上記のような考え方がおすすめとなります。
今回は、不動産特定共同事業法と不動産特定共同事業がなぜできたのか説明させていただきました。
おさらいになりますが、不動産特定共同事業法の商品に出資する際には、以下を参考に検討してみましょう。
契約形態が同じでも、事業者によって想定利回りや分配回数などは異なりますので、自分に合った商品を選ぶことが重要です。
不動産特定共同事業者の分類や許可要件については、以下記事にて詳しく記載しております。
不動産特定共同事業者とは(分類と許可要件について)